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[インタビュー]香港のゲーム開発者が1人でも会社を立てる理由。香港ゲーム開発連盟・GameDEVAの代表に,香港のゲームシーンについて話を聞いた
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印刷2026/09/01 14:04

インタビュー

[インタビュー]香港のゲーム開発者が1人でも会社を立てる理由。香港ゲーム開発連盟・GameDEVAの代表に,香港のゲームシーンについて話を聞いた

 2026年7月31日から8月3日まで中国・上海で開催されたデジタルエンタメ展示会「ChinaJoy 2026」のビジネスエリアで,香港のゲーム開発者団体GameDEVA(香港ゲーム開発連盟)が主催し,文創産業発展処(CCIDAHK)が助成するブース「香港館」を見かけた。

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 香港のデジタルエンタメ業界は成長を遂げており,現在の市場規模は約200億香港ドル(約4000億円)に達している。その中でゲーム業界は重要な役割を担っているという。
 CCIDAHKは,香港特別行政区政府文化体育・観光局が管轄する組織で,文化やクリエイティブ業界向けのサポートを展開。

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 一方,GameDEVAは,2017年に設立された非営利団体で,100社以上のゲーム企業が加盟。互いに助け合いながら経験を持ち寄る場を作ることを掲げており,2024年には「Hong Kong Game Hub」も立ち上げている。

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 香港館の設置は2025年に続いて2回目で,香港のゲーム産業の中国本土における発展の後押しや,両産業間の交流などを目的としている。会期後にはこの18社で上海の大手ゲーム企業を回る視察も予定されている。

 その香港館を仕切っていたのが,GameDEVAの共同創業者で主席を務めるJeremy Lam(林俊佑)氏だ。
 本業はゲームデザイナーで,モバイルゲームスタジオPIXIOのCEO兼共同創業者でもある。そんな同氏に,香港のゲーム業界について話を聞いてみた。

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4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。まず,GameDEVAがどういう組織なのかを教えてください。公式サイトには「ゲームコミュニティ」と書かれていましたが,会社なのでしょうか。

Lam氏:
 香港のスタジオが作ったゲームを香港の外に広めることを手伝うための団体です。香港のスタジオはどこも規模が小さく,手が回らないことが多いんです。
 ほかの国や地域の開発者と知り合って,国際的な場に出ていくきっかけを作る。それだけでも効き目はかなりあります。

 登記の上では会社ですが,儲けるための組織ではありません。ほかの会社を香港の外に送り出すのが役目なので,売上はゼロです。

4Gamer:
 非営利の団体なのですね。香港にはゲーム会社は,どれくらいあるんですか。

Lam氏:
 40〜50社くらいでしょうか(※香港館のパンフレットでは,「ゲーム関連企業」の枠組みだと200社以上,年間約50本の香港デベロッパの作品がリリースされているという推定が紹介されていた)。
 ほとんどが小さな会社です。何社かはもう少し大きいですが,それでも大きいとは言えません。

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4Gamer:
 今回の香港館に並んでいる18タイトルは,どういう基準で選んだのでしょう。

・乐言社教育基金有限公司 / Act Plus Education Foundation Limited

・二元树工作室有限公司 / Binary Tree Studio Limited

・猫茶见游戏教育有限公司 / Cateasee Game and Education Limited

・Daytech HK Limited
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・深帧工作室有限公司 / Deep Frame Studio Limited

・感受游戏有限公司 / Feeling Game Company Limited

・火狗创意有限公司 / Firedog Creative Company Limited(火狗工房)

・真诚工作室有限公司 / Genuine Studio Limited

・IterSoftworks Limited(Chefs Hat Studio)

・Leap Studio Limited(犁浦工作室)

・Lokin Studios (Hong Kong) Limited

・夜寒工作室有限公司 / Night Chill Studio Limited

・香港牛游果信息科技有限公司 / NiuGamer Hong Kong Limited

・壹娱科技有限公司 / One Interactive Technology Limited

・PhygiFusion Limited

・Realm of Alters Limited
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・万源生产有限公司 / Snako Production Limited

・亿成全球贸易有限公司 / Yicheng Trading International Limited

Lam氏:
 発売が近いものです。7割か8割はできあがっていて,遊べるデモがあって,パブリッシャが関心を持ちそうなものという基準です。

4Gamer:
 インディーな印象を受けるものが多いですが,サポートする会社の規模には決まりがありますか。小規模から中規模まで,といった線引きは。

Lam氏:
 規模は関係なく,見るのはクオリティだけです。遊んで面白いかどうか,ちゃんと動くかどうか。
 そこがクリアできていれば,これは人に見せられると判断します。

4Gamer:
 なるほど。こういう会場に出すこと以外には,具体的にどんなサポートをされていますか。

Lam氏:
 たとえば政府の助成金の申請を手伝います。選ばれた会社が,ゲームの配信やマーケティングに使えるお金を受け取れる制度があるんです。
 そこの一番左に置いてある「ゴールデンスワール」(黄金星漩)も,それを使っています。

左がゴールデンスワール
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 あとは月に1回,第1木曜日に集まりをやっています。香港でゲームを作っている人たちがバーに集まって,ビールを飲みながら好きに話す。
 そういう場で情報交換してもらっています。

4Gamer:
 ここに並んでいるだけでもジャンルの幅がめちゃくちゃ広いのですが,香港のゲームの特徴やジャンルの傾向などはありますか。

Lam氏:
 決まった傾向はありません。香港はいろいろな文化が混ざっているので,日本のゲームも中国本土のゲームも欧米のゲームも遊びます。
 何を美しいと思うかも人それぞれです。西洋的なものが好きな人もいれば,東洋的なものが好きな人もいる。
 2次元系もあれば,西洋寄りのものもあります。

 住んでいる人の出身もばらばらで,今回の出展にも代表が韓国人という会社があります。
 香港に住んでいる韓国人で,考え方も好みも我々とは違います。

4Gamer:
 日本から見ると,香港には九龍のようなごちゃごちゃしたイメージがありますね。ゲームもそのごちゃごちゃしたところから出てきている,という理解でいいでしょうか。

ちょうど九龍モチーフの作品がありまして,とLam氏はニコニコとブースを指さしていた
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Lam氏:
 そのとおりです。遊んでいるゲームがばらばらなので,作るものもばらばらになります。

4Gamer:
 GameDEVAとしては,どこまで踏み込むんでしょうか。できあがったものを外に出す部分だけを手伝うのか,作っている最中から関わることもあるのか。

Lam氏:
 基本は,できあがったものを外に出すところからです。開発の中身に指導を入れることはしません。
 もちろん,困っていれば手助けはしますし,一緒に方法を考えることもある。ただ「そのやり方はよくない」といった言い方は絶対にしません。

 彼らはインディー開発者ですから,自分の考えを持っている。そこを我々が動かすことはしません。作りたいものを作ってもらう。我々の仕事は,基本的にできあがったものを外に出す部分です。

4Gamer:
 たとえば,作っているものが進出先の市場に合っていないように見えたときも,言わないんですか。

Lam氏:
 言いません。合っているかどうかは,出してみれば市場が教えてくれます。そこを我々が先回りして直すことはしません。

4Gamer:
 開発段階にはあまり関与しないということですね。そもそも,なぜこの団体を立ち上げようと思ったのでしょう。

Lam氏:
 香港には昔から小さなゲーム会社がたくさんあるのに,それをつなぐものがありませんでした。
 みんな小さいまま香港の中に閉じていて,集まる場もなかった。だから外の世界を見てもらいたかったんです。

 いろいろな国や地域の開発者と話すたびに,こちらが学ぶことがあります。
 それを香港に持ち帰って開発者同士で回していけば,発売するときにどのパブリッシャを当たればいいのか,そのパブリッシャがどんなゲームを好むのか,といったことも伝わっていく。

 これまでG-STARにもTGSにも行きましたし,アメリカのGDCにも行きました。ほかにもあちこち回っています。

 同じことをしている団体はほかにもあって,別の団体が別の場所に連れて行くこともあります。
 香港政府からいろいろと支援を受けているので,それを使って国際的な場に送り出して,もっと学んでもらいたいと思っています。

4Gamer:
 ChinaJoyには何回出ているんですか。

Lam氏:
 今回で2回目です。

4Gamer:
 この団体を始める前は何をされていたんですか。

Lam氏:
 本業は今もゲームデザイナーで,ずっとモバイルゲームを作っています。GameDEVAのほうは,仕事以外の時間で手伝っているものです。自分のスタジオも持っていて,PIXIOという会社で今も新作を作っています。

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4Gamer:
 なるほど。ずっと香港にいらっしゃるんですか。

Lam氏:
 子どものころはカナダで育って,大人になってから香港に戻ってきました。その前にはカリフォルニアでも学んでいます。
 小さいころから中国本土にもよく来ていましたし,今も来るのは好きです。

4Gamer:
 では,Lamさん自身が香港の多様性を作っている側の人ですね。

Lam氏:
 そうですね。いろいろな文化が混ざった場所には慣れていますし,好きです。

4Gamer:
 香港館は全部が法人としての出展に見えます。香港のインディーは会社が主流で,個人開発者は少ないのでしょうか。

Lam氏:
 個人もいます。今回の出展でも,会社という形ではあっても中身は1人,というところが何社かあります。
 それとは別に「業餘遊戲公社」(意味:アマチュア・ゲーム・コミュニティ)というコミュニティもあって,そちらは会社を登記していない人が多いですね。
 1人か2人で作っている人たちです。Discordでやっているので,あまり表には出てきません。

4Gamer:
 そちらとも連携はしているんですか。

Lam氏:
 しています。お互いの存在は分かっていますし,こういうイベントをやるときは資料をまとめて渡して,向こうのメンバーにも流してもらっています。

4Gamer:
 日本だと,個人でインディーゲームを作っている人の中には,強く売ることを目指していない人も意外と多く,完全に趣味で作っている人もいます。
 香港では,1人でも会社を登記している時点で,成功を目指す人が多いということでしょうか。

Lam氏:
 香港は会社を作るのがとても簡単で,毎年の維持費も安いんです。誰でも作れるので,会社にしているかどうかにたいした意味はありません。

 むしろ我々のほうから,先に会社を作っておくよう勧めています。そのほうが本人たちを守れるからです。
 こちらの活動を通じてパブリッシャから声がかかることがあるので,そのとき個人ではなく会社として契約を結んだほうが安全なんです。

4Gamer:
 念のため確認ですが,GameDEVAはインディー限定の団体ではないんですね。

Lam氏:
 香港のゲームなら何でも対象で,インディーに限っていません。今回のイベントも同じです。

4Gamer:
 最後に,香港のゲーム開発の今後の見通しを聞かせてください。

Lam氏:
 香港には日本や韓国,中国本土のような大きな規模がありませんし,開発の地盤もそこまで固まっていません。
 だからこそ,小さな会社が成功できるようになってほしいというのが願いです。

 大きな会社になる必要はありません。自分たちの好きなゲームを作り上げて,それを世に出して,それに見合うだけの結果が返ってくれば,それでいいと思っています。

4Gamer:
 本日は,ありがとうございました。

――取材日:2026年8月2日

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