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北米の10代が動かすVR市場に,日本から挑む。「Made in Japan XR Project」がソーセージをテーマに作った12本のXRゲーム[TGS2026]
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印刷2026/09/19 13:49

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北米の10代が動かすVR市場に,日本から挑む。「Made in Japan XR Project」がソーセージをテーマに作った12本のXRゲーム[TGS2026]

 東京ゲームショウ2026の4Gamerステージで2026年9月18日,G-SMASHによるXRゲーム開発プログラム「Made in Japan XR Project」のセッション「世界で戦うVRゲームを,日本から。Made in Japan XR Project」が実施された。

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 登壇したのは,G-SMASH代表でこのプロジェクトを率いる原島 駿氏と,メンターを務めるUNIVRS(「進撃の巨人VR: Unbreakable」など)のCEOである藤川啓吾氏,CVROの藤川 駿氏(2人合わせて「VR兄弟」),CHARACTER BANK(「RUINSMAGUS」「Knights of Fiona 〜フィオナ騎士団〜」など)のCEOである三上航人氏,Iwaken Lab.の岩崎謙汰氏の5名。
 モデレーターはSkeleton Crew Studio/404 Not Foundの石川武志氏が務めた。

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(左から)石川武志氏,原島 駿氏,岩崎謙汰氏
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(左から)三上航人氏,藤川啓吾氏,藤川 駿氏
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 「Made in Japan XR Project」は,学生や若手クリエイターがXRゲームを短期集中で開発し,プロトタイプで終わらせずストアへのリリースまで伴走するというもの。
 第1弾のテーマは「ソーセージ」だ。プログラムの狙いや市場分析は8月の説明会レポートで詳しく触れているので,あわせてチェックしてほしい。

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 日本発のXRコンテンツで,次の世界的なIPを生み出す。学生・若手クリエイター支援プログラム「Made in Japan XR Project」第1弾のテーマは「ソーセージ」だ。

[2026/08/07 10:00]


VR市場は今,10代が動かしている


 原島氏はまず,北米の10代をメインターゲットに据えた理由を改めて説明した。アメリカでは10代の3人に1人がVRヘッドセットを持っているというデータがあり,彼らはTikTokやYouTube Shortsでゲームを見つけ,口コミで広げていく。

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 その中心にあるのが月間300万人が遊ぶ「Gorilla Tag」だ。ゴリラは歩行に手を使う。VRには足の動きがないため,手で地面を押して移動するのは理にかなっている。

 原島氏はこれをVRにおけるプレイヤーの動きに革命を起こした操作方法だと位置づけた。加えて同作は,インフルエンサーへの出稿を一度も行っていないという。
 ゲーム内のカメラでプレイヤー一人ひとりがクリエイターになり,コミュニティへの貢献者だけに贈られるバッジを目指して発信が回っていく構造だ。

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 面白いのは,そのGorilla Tagが一強ではないという点だろう。動物を増やした「Animal Company」,ゴリラが恐竜を育てる「UG」,舞台を海に移した「Shark Go」と,同じ身体性から派生したタイトルが目まぐるしく入れ替わっている。
 モバイルなど他市場に比べて動きが大きく,今から入り込む余地が残されている,というのが原島氏の見立てだ。

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 ストアの新作リリース数も,その根拠として示された。
 月あたりの推定値でGoogle Playが2万2000本,Steamが2000本程度であるのに対し,Meta Questは230本。また,Quest全体でもプロが作ったといえるものは1000〜1200本程度だという感覚を示し,露出のチャンスがまだ大きいと語った。

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退職金突っ込んだXR横丁,そしてゲームジャムへ


 プロジェクトの下地になっているのが,BitSummitに2年連続で出展しているXR横丁だ。原島氏が語った「1年目はMetaの退職金を全部使って,任天堂やソニーより大きいブースを取りにいった」というエピソードは印象的だ。

 G-SMASHを設立する前の話で,広い空間だけ確保して,あとの2か月は海外へリクルートに行くといった勢いだったという。
 結果的に任天堂,ソニーと並ぶ規模のブースになった。

 BitSummitで吉田修平氏へのインタビューを実施したとき,吉田氏は原島氏によるXR横丁などのエピソードを楽しそうに紹介していた。

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 元SIE・吉田修平氏による,恒例のBitSummitお勧め企画だが,今年は氏が審査員に就任し,事前ダウンロードで“たくさん遊べる”という特権を得たという。「これがとてもおいしい(笑)」と語る氏が,余裕をもって選んだお気に入りを,今年も挙げてもらった。

[2026/06/09 11:00]

 その覚悟を聞いて全力で応援したいと思った,と話したのがVR兄弟だ。岩崎氏も,毎年チャレンジできる場所があると開発チームは次の年も頑張れる,とコミュニティ側から見た価値を語った。

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 直接のきっかけは,2026年5月のBitSummit Game Jamで新設されたXR部門だった。石川氏が2019年から京都の大学や専門学校と続けてきた企画に,開催1か月半前という段階でG-SMASHから相談が入った。
 すでに準備が動き出している時期だったが,自分は断らない性格なので引き受けたと石川氏は振り返る。

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 そこから生まれたのがVRリズムゲーム「TORIMA HEADBANG」だ。
 酔うだろうと先生に何度も止められたが,制作をやめなかったといういわく付きの作品で,審査会でも体験者が軒並みフラフラになっていたそうだ。TGS2026会場では,ホール9のインディーエリアにあるBitSummitブースで体験できる。
 プレイしている人の様子がとんでもないので,会場に行く人はぜひ立ち寄ってみてほしい。

 VR兄弟は,「ほかのゲームジャムでは参加者が画面を撮るのに対し,VRでは人を撮る」と違いを指摘した。
 ヘッドセットをかぶった姿が面白いとスマホで撮られ,仲間内で盛り上がる。見られることまで含めた楽しみ方が成立していたのが,印象的だったという。

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[2026/05/23 20:10]


テーマがソーセージになった理由


 第1弾のテーマがソーセージになった理由について原島氏は,単純にソーセージが好きだということに尽きる,と即答した。
 ただし,くねる動きとVR物理演算の相性の良さに気づいた瞬間,「いけるのかではなくやろう」という判断に変わったという。

 石川氏は,最初にソーセージをやりたいと聞いたときは,とうとうお金を使いすぎて大変なことになったと思ったと笑う。そして,アメリカの子供に一目で伝わるテーマだというマーケティングの文脈を聞いて納得したと話した。

3日間のハッカソンで,12本のXRゲームが生まれた
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 ハッカソンの実施は8月18日〜20日の3日間。初日にアイデアを形にし,2日目に面白さを磨き,3日目に遊べる状態で届ける――という流れで進み,12本のXRゲームが完成した。

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 原島氏は,同じテーマから,切る,料理する,散歩する,投げる,振るといった,まったく異なる遊びが出てきたのは自身の予想を超えていたという。

 10年間VRゲームを作ってきたVR兄弟は,VRが2016年に日本でドカンと盛り上がったときの熱がもう一度来たくらいの空気だったと表現した。12本すべてが別物で,しかも脱落するチームがないまま作りきった,すごいハッカソンだったと評した。

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 このハッカソンでは,遊べるプロトタイプに加えて,Demo Dayからリリースまでの開発ロードマップと,技術,ゲームデザイン,アート,市場展開それぞれについて,次に解くべき課題まで洗い出している。
 何を作ったかだけでなく,次に何を作るかまで決めて終わる設計だ。

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合宿では,GDDと「マイキー」で作品の軸を揃えた


 9月には,BUILDフェーズへ入る足場として開発合宿が行われた。
 期間中はずっと雨で,缶詰とはこういうことかと思うほど閉じこもり,24時間体制で開発を進めたという。

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 合宿のテーマとして掲げられたのは,複数タイトルを同時にリリースしていくためにワンチームになること。
 岩崎氏は,泊まりは共通体験ができるのが強みで,別々のチームでも同じプロジェクトをやっているという気持ちになると話す。

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 さらに,原島氏の設計によって共通言語が作られていた点も評価する。それが後述のGDD(ゲームデザインドキュメント)につながり,チーム同士でフィードバックし合える土台になったという。

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 GDDは,合宿の柱の1つだ。共有するのは,プレイヤーに感じてほしい体験,プレイヤーの行動と目標,繰り返し遊ぶ基本の流れ,そしてこの作品ならではの魅力だ。
 実装の判断基準も,ゲームの核に必要か,遊べる形で確かめられるか,今の人数と開発期間で実現できるか,簡略化・延期できる要素は何か,と明文化されている。

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 海外メンターについては,VR兄弟の評価が分かりやすい。プロである自分たちがお金を払ってでも見たい情報が共有され,そのうえで作ったものを直接見てフィードバックまでもらえる環境は,日本でここしかないだろうという。

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 日本のクリエイターは完璧主義で,まだ見せるのが恥ずかしいと抱え込みがちだが,海外メンターは今見せてとぐいぐい来る。
 早い段階でフィードバックをもらえるぶん,余計な作業を避けられ,どこにフォーカスするかの意思決定も早くなるという指摘もあった。

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 もう1つの柱がターゲットの再確認だ。示されたのは「マイキー」という12歳のプレイヤープロファイルである。

 マイキーは,アメリカ・オハイオ州在住,ヘッドセットはクリスマスプレゼントでもらい,弟と共用。リビングの2畳ほどのスペースに立って遊び,プレイ中はずっと学校の友だち3人とDiscordで通話している。
 前に遊んだゲームは15秒のクリップで見つけたもので,ストアページは読まない。クレジットカードを持っていないので有料タイトルは親との交渉になり,同時に4本を遊びながら絶えず入れ替えている。

 開発の判断基準は,このマイキーに楽しんでもらえるかどうか,というわけだ。

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 三上氏は,みんなに向けて作ると全然いいものはできない,この人のために作るという意識が一番いいゲームにつながると話す。
 合宿ではさらに踏み込み,各チームが自分たちのマイキーを見つけるところまで議論したという。

 VR兄弟からは,実際にGorilla Tagへ入ってみた体験も紹介された。
 入った瞬間に子供たちから話しかけられ,英語で「ニュービー」(初心者)だと伝えると,「OK OK come here」と連れて行かれる。
 氷の滑り台の遊び方や,海賊船のエリア,ロープを使った技まで教えてくれる。そこで一緒に遊んだ子と過ごすうちに,何が好きで,どこで笑ってくれるのかが見えてくる。
 プロファイルとして想像するだけでなく,実際に子供たちと遊ぶ体験こそがターゲット理解のベースになるという。

 言葉を使わずに魅力を伝えるショート動画の作り方も,これを得意とする海外メンターから直接レクチャーされた。
 題材は4人協力の窃盗マルチプレイ「The Break-In」で,見張りを立てて2階と1階に分かれ,盗んだ物を手早くトラックへ運ぶ。こうした連携の様子を,15秒でどう見せるか。原島氏は,アメリカの子供は完成されすぎたものより,動きが少し変だったり違和感があったりするものを好む傾向があり,ショート動画はそこをよく捉えていると解説した。

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 プレイテストも体系立てて実施された。
 プレイヤーには最低限の操作説明だけをドキュメントで見せ,一切話しかけずに,どこで詰まるかを事実として記録する。
 VR兄弟は,普段のプレイテストでは横から口を出してしまい,本来やるべき検証が回らないことが多いが,今回はルールがきっちりしていて,全員がそれを実行し,フィードバックに沿って直す部分までいいループが回っていたと振り返った。

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 プレイテストは2日間で,全参加者が全員のゲームを一通り遊ぶ形を取っている。

 プレイは1本につき2回で,1回目で見つかった問題を直し,別の人が遊ぶことで導入が伝わるかを判断するという仕組みだ。
 合宿後の匿名アンケートでは,メンターに相談したが15人,テスト後に修正したが12人,修正後に再確認できたが10人となっている。

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次は11月1日の体験会。2027年1〜2月の世界リリースを目指す


 今後のスケジュールも示された。11月1日に体験会・プレイテストを実施し,合宿で作ったものを1か月ほどブラッシュアップした状態で,事前情報のない一般のプレイヤーに遊んでもらう。
 12月11日と12日には完成版に近いビルドでお披露目イベントを開催する。会場はいずれも渋谷の404 Not Foundだ。そこから調整を経て,2027年1〜2月に世界へリリースしていく計画とのことだ。

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 原島氏は,4か月でつくりきるアグレッシブなプランだと認めつつ,どのチームも熱量があり,素直にどんどん吸収しようとする力を感じていると話した。そして,グローバルリリースに向けたマーケティングや露出の面で最大限サポートしていくと語った。

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 なお,プロジェクトでは共に取り組むクリエイターや企業,パートナーを募集中だ。今後もプロジェクトを追いかけていきたい。


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