パッケージ
Finding Polka公式サイトへ
レビューを書く
準備中
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名

LINEで4Gamerアカウントを登録
[レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のインタビュー

メディアパートナー

印刷2026/09/04 08:00

レビュー

[レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 「パンッ!」

 軽快な音とともに,手と手が合わされる。

画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 えっ? いや,肉球だとパンとは鳴らないじゃないかなあ。

画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 そこにはセリフも,状況を説明する地の文もない。それでも,お互いの表情がフッと緩んだことや,気持ちが通じ合ったことは,しっかり分かる。言葉を介さない「ハイタッチ」だからこそ伝わるものだってあるはずだ。

画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 2026年8月12日にPARCO GAMESからSteam向けにリリースされた「Finding Polka(ファインディング・ポルカ)」(PC)は,個人開発者の熊沢新之助氏が立ち上げたスタジオ・lidlocksが手掛けた,ノンバーバルなインタラクティブ・アドベンチャーだ。

画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる


 ちなみに「lidlocks」とは,映画「時計じかけのオレンジ」に登場する,とある器具に由来している。その器具は被験者の目を強制的に開かせつつ目薬を投下,意思と関係なく映像を強制的に見せるという物騒なもので……つい筆が乗って詳細に説明してしまったが,要するに「一度見たら目を逸らせなくなるコンテンツ」を目指す思いがこめられているらしい。

トルチョック・スタジオとかじゃなくてよかった
画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 本作最大の見どころは,ボールペンで描かれた温かい線画のグラフィックスである。13本ものペンを使い切り,2年以上の歳月をかけて描き上げられたという数百枚の手描き原画は,尋常でない密度でありながら,どこか肩の力が抜けたような雰囲気もある。

画像ギャラリー No.006のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 BitSummitやTGSといったショーイベントで,アート部門の賞を獲得してきた実績も,スクリーンショットを見れば納得してもらえるはずだ。

画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 物語の主人公は少女フレンディ。そのお供はミニチュアダックスフントのジャズだ。ある日ふたりは,花屋の前で愛くるしいフレンチブルドッグを見かける。その犬は,フレンディが幼いころに飼っていた犬「ポルカ」にそっくりだった。ふたりはまるで吸い寄せられるように,ポルカを追いかけ始める。

画像ギャラリー No.008のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 街や農場,森,果ては宇宙空間に至るまで,どこかシュールで愛らしい世界を巡っていく本作だが,その背景には開発者自身の愛犬への思いが色濃く反映されているという。

写真でも登場するぐらいだ
画像ギャラリー No.009のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 ここしばらくのインディーゲームシーンを振り返ると,名作「Stray」をはじめ,「猫ちゃんが出てくるゲーム」が世界的に人気となっており,フォロワー的な作品も続々と登場した。
 筆者は猫も大好きだが,犬のまっすぐで一途な感じにも惹かれてしまう。「そろそろ“犬ゲー”のターンが来てもいいのでは?」と感じていたところ,昨今は相棒との絆を描いた「Neva」や,いたずらパグが暴れ回る「Doggy Don't Care」といった,佳作・話題作が相次ぐようになった。そんなわけで,実は本作もリリースを心待ちにしていた一本だったりした。


寄り道の先に待つ「くだらなさ」がイイ


 本作を一言で説明するなら,画面いっぱいに広がる緻密なマップを巡りつつ,ポルカを探すというゲームだ。プレイヤーは自分のペースで自由に歩き,ポルカ以外にもいろいろなものを見つけることになる。描き込みの細かい迷路ゲームのようなものともいえる。

画像ギャラリー No.010のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 こうした探索系のゲームにありがちなのが,「広大なマップを隅々まで調べたいのに,いきなりメインルートを引き当ててしまい,そこから前に戻れなくなる」という状態。本作はそのあたりの誘導にもしっかり気を配っている。
 「黄色い蝶」をはじめとする,黄色いモノを追っていけば先に進めるようになっており,このガイドが徹底しているからこそ,黄色いものさえ避ければ確実に寄り道できる。またこのガイドも目立ちすぎず,地味すぎずでほどよい感じ。

後始末が必要なガイドもある(というか多い)
画像ギャラリー No.011のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 そして,寄り道した先には本当にたくさんのネタが詰め込まれている。
 ポルカ探しをちょっと後回しにして,画面を隅々まで眺めてみると……あるわあるわ。土下座している人の頭を踏みつけるリーゼント,そばに簡易トイレがあるのに立ちションしている人,工事現場で働く現場ネコ風のネコ……いちいち挙げていくのもキリがないくらいだ。クスッと笑えるというか,言葉を選ばず言えばかなりくだらないものも多い。

画像ギャラリー No.012のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる
画像ギャラリー No.013のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる
画像ギャラリー No.014のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

画像ギャラリー No.015のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる
妙にバナナの皮が落ちてるなと近づいてみると……
画像ギャラリー No.016のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる
たくさんのサルが出てきた。納得である(?)

 さらには,パターゴルフやスイカ割り,もぐらたたき,サッカーのPK,ボートレース,画面内に唐突に現れる謎のQRコード(見つけたら,ぜひ実際に手元のスマートフォンで読み込んでみてほしい。筆者はクスッと笑えた)など,遊び心たっぷりのミニゲームなども散りばめられている。ポルカを探す旅であったはずが,気がつけば筆者は「くだらないもの探し」にのめりこんでしまっていた……

画像ギャラリー No.017のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる
画像ギャラリー No.018のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる


「やったね!」とハイタッチしたあの日の記憶


 そんな旅の途中,困っている人や動物に出会ったら,探索中に見つけたカギやアイテムを渡して手助けをしていく。問題を解決してあげると,お互いに手を上げて,「パン!」と音を立ててハイタッチ。これでふたりは「ともだち」らしい。まあ主人公の名前もフレンディだし?
 年齢も性別も関係なく,誰とでもしやすいこの感情表現に,いろいろな記憶を刺激されてしまう人はけっこう多いのではないだろうか。筆者もそんなひとりである。

画像ギャラリー No.019のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 まだ子供だったころ,学校や公園で。あるいは大人になったあとの酒の席で。互いにハイタッチして再会を祝ったり,してやったりな出来事を一緒に喜んだり。特に大人になってからは,言葉や態度はいくらでも飾れるようになった分,相手のそれもどこか差し引いて考えてしまうもの。だが,こういったシンプルで身体的な感情表現の記憶は,妙に後々まで残ったりする。

画像ギャラリー No.020のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 ゲーム全体のボリューム感としては,メインストーリーをまっすぐ追うだけなら2〜3時間ほど。任意のチャプターから自由に再開できるため,収集要素のコンプリートを目指した場合でも,変なストレスを感じずすっきりプレイを終えられるはずだ。
 おしゃれで,肩肘張らず,リラックスして遊べる「物語みたいなゲーム」を探している人には,本作はまさにぴったりだと思う。

ところどころヘンだけど……
画像ギャラリー No.021のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 なお付け加えておくと,本作の収集要素は,主人公フレンディの……いや,やはりネタバレになるのでここでは伏せておこう。集めても集めなくてもかまわないものだが,本作は寄り道の先にこそ面白いもの,大切なものが詰まっているとだけお伝えしておく。

画像ギャラリー No.022のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる

 迷うことは,決して無駄なんかじゃない。むしろ生きることなんて,迷って寄り道してなんぼじゃないか?? 遊び終えたあと,そんな思いが残ったゲーム体験だった。

たま川(多摩川?)の河川敷に,エリア51がある。そんなゲームはほかにはないだろう
画像ギャラリー No.023のサムネイル画像 / [レビュー]「Finding Polka」の,くだらなさすら愛おしくなる寄り道。ハイタッチがいつぞやの「やったね!」を思い出させる




開発者・熊沢新之助氏に聞く「Finding Polka」


 今回,4Gamer編集部では,「Finding Polka」の開発を手がけたlidlocksの熊沢新之助氏にメールインタビューを行った。ボールペンによる独特のビジュアルが生まれた経緯や,ノンバーバルという表現,ハイタッチに込めた意味,そして発売後に届いた反響などについて聞いた(質問:4Gamer編集部)。

4Gamer編集部:
 温かみのある絵が印象的ですが,なぜボールペンの絵でゲームを作ろうと思ったのでしょうか。

熊沢新之助氏:
 コンピュータの線に常々違和感を感じていました。なので,手描きにしようと思いました。
 ただ,想定していたボリュームを考えると,コスト的に誰かに頼むことができなかったんです。仕方なく自分で描きました。
 画材は何でもよかったんですが,そこにボールペンがあったので,ボールペンにしました。

4Gamer編集部:
 緻密に描き込まれているのに,見る側に圧を感じさせないところも魅力のひとつだと思います。タッチや雰囲気は,どのように考えて描きましたか。

熊沢氏:
 あまり意識していないのですが,私はもともとデザイナーなので,無意識のうちにバランスを取っていたのかもしれません。

4Gamer編集部:
 アナログで描いた絵や世界を,デジタルゲームに乗せて動かすうえで,特に大変だったことはありますか。

熊沢氏:
 取り込む量が多いのと,それを一つひとつに分けて影をつけて,レイアウトして,1pxもずらさずUnityに持ってくる。
 という作業を3万回くらいしているので,今思うと人間業ではないと思います。

4Gamer編集部:
 本作をノンバーバルな作品にしようと考えた理由を教えてください。

熊沢氏:
 私には小さい子どもが3人おり,彼らに向けて制作していること。そして,海外展開を前提に制作していることです。

4Gamer編集部:
 セリフがないからこそ,サウンドを担当した内田さんとは,音で何を伝えるかをどのように話し合いましたか。

熊沢氏:
 特に話し合うことは一度もなかったです。
 お互いプロとして長くやっていますので,当たり前のことを当たり前のようにこなしたのではないでしょうか。こちらからのリクエストもないですし,クオリティは信頼できる方なので,何も心配がなかったです。

4Gamer編集部:
 世界のあちこちに,くだらなくて笑えるネタをたくさん入れたのはなぜでしょうか。

熊沢氏:
 んー。なぜ? か……。多分それが私の作風,「オモテナシ」なんだと思います。

4Gamer編集部:
 黄色いものを追えば先へ進める仕組みは,どのような試行錯誤から生まれましたか。

熊沢氏:
 テストプレイですね。開発後半,迷う箇所にはアテンションを入れていく作業をしました。
 テストプレイは最も重要な作業でした。

4Gamer編集部:
 言葉ではなく,ハイタッチで気持ちや関係性を表現しようと考えた理由は?

熊沢氏:
 開発初期にたまたま「UNDERTALE」をプレイしました。
 このゲームは「トモダチをつくるゲーム」だと思いました。とてもユニークなコンセプトだったので,もっと前面に押し出した形で取り入れました。ただのお使い作業が,前向きな行動になったと思います。
 ハイタッチは,我が家では普通に行われる行為なので,自然とそうなりました。

4Gamer編集部:
 開発当初から国内だけでなく海外にも目を向けていたそうですが,そのきっかけは何だったのでしょうか。

熊沢氏:
 Steamの国内のシェアは2%しかないので,海外で受けることは,今後の活動や資金面で最も優先度が高いと判断しています。

4Gamer編集部:
 日本で知ってもらうことと,海外で知ってもらうことに,どんな違いや難しさを感じましたか。

熊沢氏:
 プロダクトは制作者のバックグラウンドと共に届けないと響かないので,言葉の壁を感じますね。

4Gamer編集部:
 gamescom award 2026の「Most Wholesome」受賞,おめでとうございます。今回の受賞をどのように受け止めていますか。また,受賞後は国内外からどんな反響が届きましたか。

熊沢氏:
 この作品をプレイしてもらえさえすれば,言葉,人種,年齢,性別を超えて評価されるということが証明されたと思っています。
 受賞後は,仲間内から巨匠と呼ばれるようになりました(笑)。

4Gamer編集部:
 当初はアート面に注目が集まっていましたが,その後は世代を問わず楽しめる,温かな作品としての魅力にも目が向けられるようになった印象があります。そうした反応の変化は感じていましたか。

熊沢氏:
 そうですね……私としては,あまり実感がないんですけど。
 個人的には,別にアート面が特に強いとも思っていないんです。こういったルックのゲームはほかにもあるんだろうと思いますし。
 音楽,雑多なゲームシステム,起伏の激しい体験,テクニカルな表現とかのほうが,わりと頑張ったんですけどね。
 私は総合的にいろいろできるタイプのクリエイターなので,アートだけではないということが,プレイしてもらえれば分かると思います。

4Gamer編集部:
 リリース後,プレイヤーの反応から初めて気づいたことや,意外だったことはありますか。

熊沢氏:
 皆さんの想像力が豊かなので,面白いなと思いました。

4Gamer編集部:
 作品を遊び終えた人に,どんな気持ちを持ち帰ってほしいですか。

熊沢氏:
 個々に自由な想像力で完結してもらえたらなと思います。

4Gamer編集部:
 最後に,これからプレイする人や,本作に興味を持った人へ一言お願いします。

熊沢氏:
 あなたの人生の1ページに残るゲームがここにありますよ。


  • 関連タイトル:

    Finding Polka

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:09月03日〜09月04日